マインドフルネスとは

マインドフルネスってなに?


 「マインドフルネス」という言葉を文字通りに読むと「mindが満たされた状態」ということになります。
実際は、ブッダの教えである「八(はっ)正道(しょうどう)」のひとつ「サティ(sati)=正念」を英語の「Mindfulness」に置き換えたものと言われています。漢語では「念(こころの働き)」と訳し、「心にとどめておかせる働きとしての注意」という意味になります。
漢語の念は、「今に心」と書くように、まさにマインドフルネスそのものを表す言葉ともいえるのではないでしょうか。

「今この瞬間の経験に、意図的に、判断をせずに注意を向けることにより現われる気づき」
(Jon Kabat-Zinn)
マインドフルネスは、「今、この瞬間に意識を向け、様々なことにとらわれることなく、ありのままの自分を感じること」と考えられています。


 マインドフルネスが欧米に広まったのは、ベトナム中部生まれの禅僧、ティク・ナット・ハン師が、仏教の教えを「マインドフルネス」として欧米をはじめ世界に紹介したことがきっかけでしょうか。
その後、1970年代の終わりに、マサチューセッツ大学名誉教授のジョン・カバットジン博士がマインドフルネス・ストレス低減法*1という8週間のプログラムを開発しました。このプログラムは、当初、慢性疼痛(とうつう)(長期にわたる心身の痛み)に悩む人々のために考案されたもので、それらの患者を対象にこのプログラムを実施したところ、痛みやそれに伴う不安、抑うつ状態が改善されるなど、科学的な効果が実証されました。
 さらに、第三世代の認知行動療法の中心として、いくつかの心理療法*2にマインドフルネスが取り入れられました。うつ病などさまざまな精神的な悩みを抱える方々を対象におこなった結果、薬を使わずに症状の軽減効果が得られ、専門家の間で注目を集めるようになりました。
その後、マインドフルネスはさらなる広がりを見せ、脳科学の世界でも注目を集めるようになってきており、効果が実証されています。日本で広く知られるようになったのは、2014年くらいからでしょうか。今では、多くのテレビ番組や新聞、科学雑誌から女性誌にいたるまで、マインドフルネスの瞑想やその効果が取り上げられるようになりました。

いろいろな悩みは欲望や感情や思いにとらわれることに原因があるという仏教思想や心理療法の考え方に基づき、今ここの身体感覚に注意を集中し、さまざまな欲望、感情、思いと距離をとり、それらに引きずられない力を瞑想トレーニングを通して身に着けていきます。
 
*1.マインドフルネス・ストレス低減法(Mindfulness-Based Stress Reduction; MBSR)
ジョン.カバットジン博士が開発した8週間プログラムからなるストレス対処法。1979年、マサチューセッツ大学医学部に創設された「ストレス低減クリニック」(現:医療・ヘルスケア・社会のためのマインドフルネス・センター)にて、当社慢性疼痛に悩む患者を対象に実施され、その効果について科学的に効果が実証されています。

*2.マインドフルネス認知療法、アクセプタンス&コミットメントセラピー、弁証法的行動療法など

 

マインドフルネス認知療法

マインドフルネス認知療法(Mindfulness-Based Cognitive Therapy;MBCT)は、第三世代の認知行動療法として、様々な実証研究が行われ、その効果が示されています。
Mindfulness-Based Cognitive Therapyの頭文字からMBCTと呼ばています。8回のセッションと45分位のホームワーク(セッション開催日以外の週6日間毎日実施)、1回のサイレントリトリートで構成をされ、段階的に構造化されたプログラムです。
ジンディル・シーガル(Z. V. Segal)とジョン・ティーズディール (J. D. Teasdale) 、マーク・ウィリアムズ(J. M. G. Willams)と3名の精神科医や心理学者よって開発をされました。
マインドフルネス瞑想をもとに、認知の修正を目指す認知行動療法と認知の修正を目指さないMBSRの2つのアプローチを組み合わせ(家接,2018)プログラム化したものです。
 
 MBCTは、私たちに必要なスキルを身に着けるトレーニング
 もともとは、うつの再発防止のために開発をされたグループワークでしたが、現在ではうつの再発防止を超え不安症、慢性的疲労などに対しても適用されています。また、対人関係からくるストレスケアやウェルビーイングの観点から生活の質の向上を目的とし、日常生活の中で活かすセルフケア法としてもおこなわれています。
マインドフルネス認知療法(MBCT)は、私たちの中に起こるネガティブな思考の反すうパターンから抜け出すことを目指しています。私たちの思考は過去や未来に意識が向きやすく、今に心を留めておくことが難しいものです。特に、常にネガティブない状態になると過去を悔み未来を心配することを繰り返しおこなうようになります。
マインドフルネス認知療法(MBCT)では、瞑想を通して現在の状態(思考、感情、身体感覚)を観察し少し距離をとることを様々な瞑想体験を通して習慣化することで、イライラやネガティブな思考に巻き込まれず(脱中心化)思考から距離をおくスキルを学んでいきます。
マインドフルネス認知療法(MBCT)は、まさに今の私たちに必要なスキルと身に着けるトレーニングを言えるでしょう。

 
マインドフルネス認知療法(MBCT)のプログラム内容
 マインドフルネス認知療法(MBCT)のホームワークでは、音声データをもとに瞑想のための時間をとっておこなうフォーマルプラクティスと毎日の活動の中でおこなうインフォーマルなプラクティスからなります。フォームプラクティスは、音声データをもとに〝ボディスキャン″〝マインドフルネスムーブメント(マインドフルネス・ヨガ)″〝呼吸のマインドフルネス″〝呼吸と身体、音、思考のマインドフルネス″〝困難に向き合うマインドフルネス呼吸と身体、音、思考のマインドフルネス″などの瞑想を30分~45分間実践します。それと同時に、日常生活の中から毎日当たり前に意識せずにおこなっている活動たとえば、朝ベットから起きること、歯を磨くこと、食べることなど、その活動のひとつひとつの行動の瞬間瞬間に気づくように意識的に取り組むことをおこないます。そして、不快な感情や思考、身体感覚が起こった時におこなう3ステップブリージングスペース(呼吸空間法)を繰り返し実践します。

8回のセッションで修了しますが、大切なのは修了後のセッション9です。
日常にどうのように落とし込むかセッション9からが本番になります。そのために
セッション8までトレーニングをしていくのです。
こころの在り方doingモード」と「beingモード」
 私たちのこころのあり方には「doingモード(することモード)」と「beingモード(することモード)」というふたつのモードがあると言われています。
「doingモード」は、駆り立てられるモードともいわれ問題が起きた時に自動的に反応「するモード」です。物事が望ましい状況にあるかどうか、目標を達成できているのかなど、常に判断・計画・評価して、効率のよい解決策や達成の道筋を考えようとします。それが思い通りの状況であれば、達成感や満足感が得られることができるということになります。反対に物事がうまくいかないときは、理想と現実のギャップに直面することになり「このままではダメだ」と、否定的な評価を繰り返すようになります。さらに、現状と理想のギャップの解決にこだわり、ぐるぐるとネガティブな考えをめぐらせていくようになります。
一方「beingモード」は、「ある」という言葉通り、「ありのまま」を受け止めるこころのあり方です。「悪い」「ダメ」「失敗」などと決めつけずに、現在の経験の一つとして、ありのままに素直に眺めて受けとめようとするこころの状態になります。
わたしたちは嫌なことがあると「doingモード」にこころがシフトしがちですが、「doingモード」に気づいたら、必要に応じて、「doingモード」へとギアチェンジをすることが大切です。
doingモード」がすべて悪いというわけではなく、ネガティブな思考のループから抜け出せないときには、「今、自分はすることモードにいる」なのだと気づき、そのうえで、「beingモード」へと意識を移すトレーニングをすることが大切なのです。マインドフルネス認知療法(MBCT)プログラムでは、各セッションでおこなわれる瞑想体験を通して自分の思考の癖や自動操縦状態を観察することことから始め、ネガティブな思考のループになる前に練習として「doingモード」に気づいたら「beingモード」に意図的にギアチェンジすることを繰り返しおこないます。

現在、オンラインでマインドフルネス認知療法(MBCT)をおこなっています。講座案内よりご興味のある方は、講座案内より詳細をご確認くださいますようお願いします。






 

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